4月 27
堅固なトレード法の確立 ②単純さ
昨日に引き続き、トレード法の堅固さを作りあげるために一番重要に
なる多様性と単純さについて、生態系の生存能力に例えてお話をさせ
てもらいます。
本日は単純さについてお話を進めさせてもらいます。
複雑な生態系は単純なものより活発なので、環境が安定しているとき
は、複雑な種よりもずっと有利に見えます。
しかし、変化の時期には、複雑な種のほうが絶滅する可能性が高いも
のです。
そういう時期にもっとも強い種は、非常に単純な生物であるウィルス
やバクテリアなどになります。
単純な生物が強いのは、決まった環境に依存する度合いが低いからで
す。
巨大な隕石が地球にぶつかったり、火山の大噴火が気温を大幅に下げ
たりして、生態系が大きな変化にさらされたとき、そういう単純さは
極めて有利に働きます。
機構が変動したとき、それまでの気候に依存していてはひどく不利に
なります。
トレード法も、上記の働きにとても類似していて、複雑なトレーディ
ングシステムのほうが、より精度が高いように感じるかもしれません
が、実はそうばかりとは言えません。
確かに、平時の相場の時であれば、複雑に多種多様な理論や計算法を
取り入れた、トレード法が、比較的有利に運ぶこともあるかもしれま
せん。
しかし、ここで思い出して再確認して頂きたいことの一つに、相場と
いうものは、ランダムな動きが基本になっているということです。
このランダムな動きが相場に存在する限り、いかに緻密な計算をしよ
うとも、相場の正確な値位置は割り出すことは出来ないということに
なります。
したがって、予測できないような、相場の動きが生じたときには、か
えってパニックを起こしてしまうことがあり、臨機応変な対処が出来
なくなります。
しかし、それとは、反対に、相場の動きはランダムであるから、思い
描いた方向と違う値動きをした時は、直ちに損切りをするというよう
に、極めて単純に相場を捉え、トレード法もとてもシンプルにしてし
まうことが出来れば、どのような、複雑な相場状況にも、極めて冷静
に対処することが出来るようになります。
4月 26
堅固なトレード法の確立 ①多様性
トレード法の堅固さを作りあげるために一番重要になる多様性と単純
さについて、生態系の生存能力に例えてお話をさせてもらいます。
まずは、多様性についてお話を進めさせて頂きます。
生態系のレベルでは、自然はひとつかふたつの種に頼って仕事をさせ
たりはしません。
捕食動物も、草食動物も、死骸の後始末をする清掃動物も、1種類だけ
ではありません。
多様性が必要なのは、それが一つの種の個体数に激変を起こす様々な
影響から生態系を守るからです。
トレード法も、これによく類似していて、どれか、一つの相場にしか
使うことの出来ないようなトレード法というのは、実際には堅固なト
レード法であるとはいえません。
もし仮に、ある市場でだけ、このトレード法は機能します。というも
のがあるとすれば、それはおそらく、季節的な要因などがたまたま重
なっただけの偶然の一致にしか過ぎないものでしょう。
そのような、トレード法は、いずれ大きな誤差を生じるようになり、
大きな損失を被る時が必ず訪れます。
本物のトレード法というのは、どのような相場の市場でも、全て同じ
条件で、トレードを行い利益を出せるものを言います。
そして、それは相場にどのようなことが起ころうとも、常に堅固であ
り、同じ働きをします。
4月 25
堅固なトレード法の確立【概要】
堅固なトレードを行うには、将来的に何が起こっても上手く機能する
トレード法を構築する必要があります。
その基本は、誰にも将来のことはわかりませんので、過去のデータに
もとずいたテストには元来きわめて大きな誤差があるという現実を受
け入れることから始まります。
皮肉にも、将来が不明であることを考慮に入れたトレード法を構築す
れば、トレードのパフォーマンスがもっと予測しやすくなることに気
ずくでしょう。
一見矛盾する事柄が生じる理由とはこうです。
将来のことはわからないという前提でトレード法を構築すれば、その
トレード法には織り込み済みで、あなたが予測していなかった状況が
将来起こっても、心の準備が出来ています。
それとは逆に、決まった特徴を持つ相場を想定してトレード法を構築
すれば、プログラムが基礎とする状況が存在しないと損失をこうむる
ことになります。
では、決まった相場に頼らないトレード法を構築するには、どうすれ
ばいいのでしょうか?
あらゆる堅固なトレード法に共通する特性が、主にふたつあります。
多様性と単純(分かり安さ)さです。
これらの要因がなぜ堅固さを増すのかを示す格好の例が、自然の中に
あります。
生態系における個々の生存能力と、トレード法の堅固さは、非常に良
く似ています。
続きは次回になります。
4月 25
トレード法をトレード場面に応じて使い分ける
トレンドフォロー派が好むのは、トレンドが発生していて、上げ下げ
の変動幅が少ない相場環境です。
このような相場状況のときには、反対方向への大幅な値動きがないの
で、トレンドフォロー派のトレード法は儲けが出しやすくなります。
トレードを行っている間も、出ている利益が相場に還元されてしまう
恐れもないので、安心してトレードを続けていられます。
トレンドフォロー派にとってきびしいのは、変動の大きな相場になり
ます。
何日も、何週間も相場に利益を奪われ続けて、手仕舞いを出来ずに、
大きなストレスと不安を感じたまま、トレードを続けなくてはならな
いこともあります。
カウンタートレンド派が、好むものは、全体に安定した変動幅の大き
な相場(いわゆるボックス相場)です。
このタイプの相場は、比較的大きな値動きがあるものの、かなり狭い
価格帯に収まった動きを繰り返します。
スイングトレーダーは、トレンドがあろうがなかろうが、変動の大き
な相場を好みます。
短期の値動きで稼ぐスイングトレーダー(トレード法)にとって、変
動の大きな相場には、それだけ大きなチャンスが転がっていることに
なります。
相場状況が、これら4つのうちのどの状態にあるのかを、簡単に見分
けられることもありますが、トレンドの程度と変動性は時間とともに
変化していきます。
つまり、相場には二つの状態の特徴が同時に現れることが多いことに
なります。
ひとつの相場の特性がかすかに現れてしだいに顕著になることもあれ
ば、その逆のこともあります。
たとえば、トレンドがあって変動が小さい状況からはじまった相場が
、トレンドが進むに連れて変動性が高くなり、値動きも、トレンドが
あって変動が小さい相場から、トレンドがあって変動が大きくなると
いう相場状況に変化していきます。
優秀なトレーダーは、トレード法を用いる際に、相場の動向を予測す
ることはしません。
そのかわり、相場がある特定の状態にあるという兆候(サイン)は探
します。
これは、トレード法を用いている、トレーダーにとっては、非常に重
要なことです。
優秀なトレーダーは、相場がどう動くかは予測したりはしませんが、
相場が現在どのような動きをしているかを示す兆候(サイン)には、
かなり、神経質に目を配ります。
そして、そのサインを見つけ出した時には躊躇なく、トレード法を駆
使して、トレードに望んでいきます。
4月 24
サイクルから見たサイクルの下げねじれと上げねじれ | トレード法より
一つのサイクルが【起点】→【頂点】→【終点】と一連の流れを終了
する時、【終点】が再び【起点】となるような動きに、相場が転換し
なければ、それまでの動きは更に、それまでのサイクルの動きに準じ
て、その方向に加速していくようになります。
これが下降トレンド期であれば、サイクルの【終点】まで下落し続け
た相場が【終点】を迎えても下げ止まらなければ、そこから更に下落
速度を加速していくという事態を招きます。
上昇トレンド期であれば、その反対の動きとなります。
そしてサイクルがそのような、動きになるとそれまでの動きが、更に
大きなサイクルの節に到達するまでは、続いていくということになり
ます。
ただし、上昇の延長と下落の延長には微妙な動きの差が出てきます。
上昇トレンドの延長の場合には、さほどそのトレンドの角度を急激に
変化をさせることは、相当なクライマックス場面でない限りありませ
ん。(バブル期の青天井の時など)
しかし、下落トレンドの延長の場合には、多くのトレーダーの不安の
心理が集合して、投げが投げを呼ぶ状態となるので、上昇トレンドの
時のようなクライマックス場面を迎えなくても、角度を急激に変えて
その下落速度を加速していくことが多くなります。
どちらにしましても、サイクルの延長が起こるようなときには、それ
までのトレンドの動きを継続することは間違いありませんので、トレ
ードに読み間違いが生じたと感じたときには、速やかにトレードの手
仕舞いをすることを心がけるようにしてください。
例え、小額の損が出ていたとしても、迷うことなくスッパリと、損切
りを実行するようにしましょう。
サイクルの下げねじれとサイクルの上げねじれが起こるときは、予想以
上に、エネルギーを伴うことがありますので要注意です。
4月 22
トレード法に影響を及ぼす「認知のゆがみ」⑤小数の法則
小数の法則の魔術にかかると、ある集団から取り出した小量のサンプ
ルは、その母集団の特性がそっくり現れているように思わされてしま
います。
小数の法則とは、統計学でいう【大数の法則】をもじったもので、こ
れは、大量のサンプルにはそれが取り出された母集団の特性がそっく
り現れているという法則です。
世論調査は全て、この考えをもとに行なわれます。
ランダムに抽出された500人は、2億人かそれ以上の母集団の動向を探
るよいバロメーターになります。
これとは対照的に、あまりに少ないサンプルには、元なる母集団の特
性があまり反映されません。
例えばあるトレード戦略が、6回のテストのうち4回成功したとします
。
たいていのトレーダーはこれを有効な戦略と見ますが、統計学的証拠
に照らし合わせると、確信のある結論を引き出すには情報量が充分で
無いということになります。
3年連続で市場平均指数を上回る業績をあげたファンド・マネージャ
ーは英雄視されますが、残念なことに2年や3年の業績では、長期的な
期待値がどの程度なのかほとんど予測がつきません。
【小数の法則】の影響を受けるトレーダーは、安易に過大な信頼を寄
せたり、そっくりそれを失ったりしてしまいます。
ここに直近偏向と結果偏向が加わると、せっかくトレーダーが有効な
アプローチ法をとっていても、そのアプローチ法が機能し始める前に
それを放り出しかねません。
認知のゆがみはトレーダーに、計り知れない影響をおよぼします。
認知のゆがみに惑わされなければ、ほぼ全ての【ゆがみ】が金儲けの
チャンスに繋がるからです。
4月 21
トレード法に影響を及ぼす「認知のゆがみ」④係留(アンカリング)
係留(アンカリング)とは、不確実さが支配する意思決定のトレード
の場面で、トレーダーが容易に手に入る情報に頼りすぎる傾向を言い
ます。
トレーダーは、あまり遠くない直近の価格を意識に刻みつけ(係留)
、現在の価格がその価格とどういう関係にあるかを基準に、トレード
の意思決定を行なう習性があります。
トレーダーの多くが、ポジションの処理に失敗する理由の一つには、
これが起因しています。
直近の高値を意識に刻み付け、現在の相場の価格をそれと比較してし
まうのです。
そのような比較をすれば、現在価格は常に低すぎる状況となってしま
います。
トレーダーはしばしば、大勢が支持するからという理由で、ある物事
を支持するようになります。
これをバンドワゴン効果、あるいは群れ効果と言います。
バブルの最後に訪れる青天井の価格の上昇は、このバンドワゴン効果
が一つの背景としてあると考えられます。
特に、日本人は、この群れるという行動が他の国の民族に比べ本能的
に強い傾向があるので、いかに優れたトレード法を身につけていたと
しても、かなり意識してトレードに望まないと、上記してきた、認知
のゆがみに取り込まれやすいので、自分を律する力量がトレードを行
なう際には必要になってきます。
4月 20
トレード法に影響を及ぼす「認知のゆがみ」③処理効果
処理効果とは、上がり相場にある株を売り、価格の下落した株は保有
したくなるトレーダーの心理をさします。
これを埋没費用効果と結びつけて考える人もいます。
過去の決断がよい結果をもたらさなかった場合、人間にはその現実を
直視したがらない心理があることを示すからです。
同様に、勝ちトレードをすぐに確定したがる傾向は、儲けを失うのを
避けたいという心理からきます。
この傾向を持つトレーダーは、勝ちトレードから降りる時期を早まっ
て潜在的利益を不意にしてしまい、大きな損失の埋め合わせが出来な
いことになります。
したがって、それを繰り返していくうちに、必然的に、そのトレーダ
ーのトレード資金は減少していくことになります。
4月 20
トレード法に影響を及ぼす「認知のゆがみ」②埋没費用効果
これから支払うことになる費用より、すでに支払ったか、支払うこと
が決まっている費用の方を重視する傾向。
この現象はトレードにどのように影響するのでしょうか?
20万円の利益を期待してトレードを始めた、トレード初心者がいると
します。
このトレーダーはトレードに参入するにあたり、価格が下落して10万
円の損失を出したら持ち高を解消すると決めました。
数日後、持ち高は5万円の損失となってしまいました。
さらにその数日後、損失は10万円を超えて来ました。トレード資金の
1割以上にあたる額です。
トレード資金は100万円あったものが減少して、90万円を割り込んでき
ました。
これは、このトレード初心者が、持ち高を解消するとあらかじめ決め
ていた額でもあります。
10万円の損失を出した時点でトレードを降りるという当初の決意を守
るべきか、それとも守らずに持ち高を維持すべきかという二者択一を
迫られたトレーダーに、「認知のゆがみ」は、この場合どう作用して
くるでしょう。
損失回避が作用すると、このトレーダーは持ち高を解消しずらくなり
ます。
なぜなら、持ち高の解消は損失の確定にほかならないからです。
トレードを降りない限り、いつか市場が活況を取り戻し、損失が利益
に転じるという希望を持ち続けることが出来るからです。
埋没費用効果の作用を受けると、トレーダーは、今後相場がどう動く
かではなく、すでにトレードで支払った10万円を無駄にしないために
はどうすべきかという観点から決断を下すようになります。
つまり、このトレード初心者は、相場が今後どう動くかではなく、損
失を確定して10万円を無駄にしたくないという思いから持ち高を維持
することになります。
価格がさらに下がって損失が20万円に膨らんだら、このトレーダーは
どうするつもりなのでしょうか。
合理的思考に従うなら、トレードを降りるべきです。
はじめの頃の思惑がどうであれ、もともとトレードを降りると決めた
価格をさらに下回ったということは、その思惑の誤りを相場に告げら
れたようなものです。
あいにくこの時点で、損失回避と埋没費用効果はどちらもこれまで以
上につよくなっています。
避けたかった損失は膨れ上がり、考えるのも見るのも辛くなります。
多くのトレーダーは、結局そのままズルズルとトレードを続け、トレ
ード資金をごっそり失うか、トレード資金の30~50%、つまり最初の計
画のおそらく3倍から5倍の損失を出してから、パニックに陥ってから
ようやくトレードから退散するようになります。
4月 18
サイクル理論のリズムの原理をトレード法に用いる
サイクル理論におけるサイクルのリズムの特徴は、
「上昇をはじめれば、この日まで高くなる」
「下落をはじめれば、この日まで安くなる」
というところにあります。
ただし、目安としてのサイクルの終点を過ぎてからどうなるかについ
ては、目安としてのサイクルの終点の期日を決定する時点では考えな
いとされています。
「考えない」というのは、極端な言い方になるのですが、もっとポピ
ュラーに言えば「変に先回りをしてトレードに参加しない方がいい」
という意味が込められています。
つまり、サイクル理論の上昇トレンド期に
「サイクルの頂点にまで到達したから」といってトレードに参加して
売り玉を建てたり、
下降トレンド期に「サイクルの終点にまで到達したから」といってト
レードに参加して買い玉を建てるといったことをしてはならないとい
うことです。
相場と言うものは、基本的にランダムに動くものですから、必ずサイ
クルの起点や頂点や終点で転換するということはなく、前述したとお
り、その方向への加速・延長されることもあるわけです。
ですから、利喰いや手仕舞いなどの決済ならともかく、出現している
トレンドに逆らっての建玉は禁物となります。
よって、サイクル理論に基ずくサイクルの起点や頂点や終点を過ぎた
後、目の前の相場がどのように変化し、それに伴って自分の定めてい
るトレード法のサインが出てトレンドの変化の兆しを見せているかを
きちんと確認してから、次の手を考えるようにしていきます。