4月 20
トレード法に影響を及ぼす「認知のゆがみ」②埋没費用効果
これから支払うことになる費用より、すでに支払ったか、支払うこと
が決まっている費用の方を重視する傾向。
この現象はトレードにどのように影響するのでしょうか?
20万円の利益を期待してトレードを始めた、トレード初心者がいると
します。
このトレーダーはトレードに参入するにあたり、価格が下落して10万
円の損失を出したら持ち高を解消すると決めました。
数日後、持ち高は5万円の損失となってしまいました。
さらにその数日後、損失は10万円を超えて来ました。トレード資金の
1割以上にあたる額です。
トレード資金は100万円あったものが減少して、90万円を割り込んでき
ました。
これは、このトレード初心者が、持ち高を解消するとあらかじめ決め
ていた額でもあります。
10万円の損失を出した時点でトレードを降りるという当初の決意を守
るべきか、それとも守らずに持ち高を維持すべきかという二者択一を
迫られたトレーダーに、「認知のゆがみ」は、この場合どう作用して
くるでしょう。
損失回避が作用すると、このトレーダーは持ち高を解消しずらくなり
ます。
なぜなら、持ち高の解消は損失の確定にほかならないからです。
トレードを降りない限り、いつか市場が活況を取り戻し、損失が利益
に転じるという希望を持ち続けることが出来るからです。
埋没費用効果の作用を受けると、トレーダーは、今後相場がどう動く
かではなく、すでにトレードで支払った10万円を無駄にしないために
はどうすべきかという観点から決断を下すようになります。
つまり、このトレード初心者は、相場が今後どう動くかではなく、損
失を確定して10万円を無駄にしたくないという思いから持ち高を維持
することになります。
価格がさらに下がって損失が20万円に膨らんだら、このトレーダーは
どうするつもりなのでしょうか。
合理的思考に従うなら、トレードを降りるべきです。
はじめの頃の思惑がどうであれ、もともとトレードを降りると決めた
価格をさらに下回ったということは、その思惑の誤りを相場に告げら
れたようなものです。
あいにくこの時点で、損失回避と埋没費用効果はどちらもこれまで以
上につよくなっています。
避けたかった損失は膨れ上がり、考えるのも見るのも辛くなります。
多くのトレーダーは、結局そのままズルズルとトレードを続け、トレ
ード資金をごっそり失うか、トレード資金の30~50%、つまり最初の計
画のおそらく3倍から5倍の損失を出してから、パニックに陥ってから
ようやくトレードから退散するようになります。
トレード法・サイクル理論(松下誠・野川徹)に学ぶFX・株の極意
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